離婚約?何それ??
2017/11/17
カテゴリースタッフブログ
結婚の約束を婚約というように、離婚の約束をすることを「離婚約」という様になったそうですが、最近、この「離婚約」を取り交わすことが増えてきているそうです。
離婚約は、具体的には、「子どもが成人したら、離婚する」など、将来、離婚することを前提に、結婚生活を続けている夫婦間の決まり事のことです。
でもこれって・・・
実は、しっかり書面を交わして契約(離婚約)を結んだところで、無効とされるのではないかと思います。
なぜなら、「事前に離婚をすることの合意(離婚の予約)は、離婚届出時の真意確保という観点から、法律上、無効である」とされているのです。
そもそも、「離婚届提出に」「夫婦の双方に離婚の意思があること」が離婚成立の要件です。
つまり、離婚の予約に関する合意をしたり、その旨の書面を作成したりしてしっかり署名押印した場合でも、その合意や書面があるからと言って、ずっと後になって気が変われば、法律上、離婚の届出をするという義務を負うことはないのです。
ちなみに、離婚を前提に決められた財産分与や子の親権者指定などに関する協議も効力を生じないとされているそうです。
そうそう、実は、離婚協議書の作成を依頼されたときに、よくこんなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。
※以下の文言は、弊所が作成した離婚協議書の一部です
第1条
甲と乙は、甲の不貞行為により、甲乙間の婚姻関係が破綻したことを確認し、本日、協議離婚することに合意した。尚、その届出を甲は乙に委託し、乙は、第12条にかかる公正証書を作成した日より7日以内に届出を行うものとする。
依頼者様:「7日以内のところを『子供が成人する3年後』にして欲しい。」など、かなり先の日付にして欲しいとおっしゃる方が多いのです。
もうお分かりだと思いますが、先に書いたようにこんな期間を定めてしまったら、後になって「離婚協議書そのものが無効」だと主張され兼ねないのです。
では、離婚協議で離婚に合意(離婚協議書締結)から、離婚届提出まで7日でも気が変わったらだめじゃないのか?
さすがに、7日で気が変わったというのは通用しない(言いがかりレベル)でしょう。
それに、このケース、乙(妻)が弊所の依頼者様ですから、仮に7日で甲(夫)の気が変わって離婚に応じないと言ってきても心配はありません。
なぜなら、弊所の依頼者様だということは、たいていは証拠が完璧です。
そして、甲(夫)の不貞行為が原因で離婚するわけですから、甲(夫)が変わっただの何だのと、四の五のぬかしやがったら、
調停なり裁判なりで、不貞行為の証拠が威力を発揮するだけです(笑)
さて、それはそうと、離婚約は意味がないのでしょうか?
法律的にはともかく、夫婦関係を改善できる可能性があるのではないかと思われます。
離婚約によって距離をおき、冷静になる期間を設けることが出来るのです。
実際に、離婚約をして、別居をしたところ、お互いの良いところが思いだされ、「自分にも努力できた部分があったはず。これで本当にいいのだろうか?」というお互いに思い、夫婦関係を修復し、やり直すことができたという例もあるそうです。
この様に、離婚約をしたことにより夫婦関係がいい方向に変化することもあるのです。
勢いや感情に任せて離婚した場合、後から「しまった」と後悔しても、時間は戻りません。
法律的な効力を求めるのではなく、夫婦関係修復の目的と言う観点からみれば、もしかしたら離婚約も「無効」ではないかも知れませんね。
ご参考までに・・・。