不貞行為から3年間は離婚できる!?
2023/06/26
カテゴリースタッフブログ
「不貞行為の時効は3年だから、証拠を撮ってから3年間は離婚できるということですよね?」
お客様から良く聞かれる質問です。
実はこれ、大きな間違いです。
3年で時効を迎えるのは、不貞行為(不法行為)の「慰謝料請求」のことであって離婚のことではありません。
※民法第724条:不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。以下省略
これは、不貞行為があったときから、3年間慰謝料請求をしないと、慰謝料の請求ができなくなってしまうということで、言い換えれば3年間は請求することができるということです。
しかし、離婚についてこの様な定めはありません。
ですから、「不貞行為から3年経過したら絶対に離婚できない」ということでもなく、反対に「不貞行為から3年間は必ず離婚できる」ということでもありません。
具体的に説明します。
3年以上前の浮気夫(妻)の不貞行為が原因で、それ以来ずっと夫婦関係がギクシャクした状態が続いており、婚姻の継続が困難になっている様な場合ですと、浮気夫(妻)が離婚に応じなくても、裁判所は離婚を認めることがあるということです。
その反対に・・・
不貞行為発覚後、夫婦関係が良好に回復しいて、夜の生活も何度もある様な状態で、不貞行為から1年が経過していたとします。
この場合、まだ不貞行為から1年しか経っていないから、離婚できるということにはなりません。
後者の場合、一旦良好になっているわけですから、離婚したくなったのは1年前の不貞行為ではなく、別の原因が生じていると考えるほうが自然です。
この様に、不貞行為から何年経過したからもう離婚できない、何年までは離婚できるということは、一概には言えないのです。
ちなみに、不貞行為が原因で離婚に至った場合、その慰謝料請求の時効は、不貞行為があったときではなく、離婚に至った時から進行します。
ただ、例え慰謝料請求に3年間の猶予があると言っても、不貞行為を理由に離婚したい場合、特別な事情が無ければ、なるべく早くしたほうが良いと言えます。
なぜなら、不貞行為から年月が経てば経つほど、不貞行為と離婚の因果関係が証明しにくくなるからです。
この様に、離婚の問題は、相手方への慰謝料請求より複雑です。
しかし、多くの方々は、3年後(以内)に離婚したいから、今のうちに証拠を撮っておきたいとおっしゃいます。
子供が卒業するころに・・・
子供が成人したら・・・
お金が貯まったら・・・
就職先を見つけてから・・・
などという理由からです。
しかし、3年後に証拠を撮りましょう!
という話にもなりません。
そのころに、不貞行為があるとは限らないからです。
ですから、不貞行為の証拠は撮れるうちに(不貞行為があることがわかっているうち)撮っておくのが良いと言えます。
そして、証拠が撮っても、すぐに離婚できない理由がある場合は、不貞行為を理由に、浮気夫(妻)と別居を開始して、離婚の機会をうかがうという方法もあります。
ただし、別居するにしても、ただ家を飛び出すのではなく、書面(例えば、別居に関する覚書)などを締結しておくなど、後々、不利にならないような対策をしておくことをおすすめします。
離婚には、法律に、不貞行為から何年までなら離婚できるという定めがありません。
離婚の問題は複雑ですので、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。